/ 2016年10月
2016.10.29
本日、「メッセナゴヤ2016」が閉幕しました。
本日は私の担当日でしたので、日本弁理士会東海支部のブースで終日お手伝いさせていただきました。
ブース内で催しました知財に関する「ミニセミナー」では、たくさんの方に参加していただきました。皆様の知財への関心の高さがうかがえ、とても実りある出展でした。
ブースにお越しいただきました皆様、また、名刺交換させていただきました皆様、誠にありがとうございました。厚くお礼申し上げます。
さて、初日に「メッセ初モノ製品・サービス 大発表会」を観てきたことについては先日のブログでも書きました。
「メッセ初モノ製品・サービス 大発表会」とは、「メッセナゴヤ2016」に初出品される新製品・新サービスを発表するイベントで、350社の中から厳選な審査で選ばれた10社によって初日と三日目にプレゼンが行われました。
そこで、なんと、医療廃棄物箱用自動施錠装置「がちゃポイロック」についてプレゼンされた弊所のお客様である「株式会社伸交」の代表取締役の村山泰司様が「もういいで賞」を受賞されました!
350社から10社に選ばれただけでもスゴいのに、賞をいただけるとは本当にすばらしいことですね!賞の名前が少々気になりますが・・・
社長様のアイデア力、技術力、行動力には驚かされます。
元気な元気な中小企業、てつモノいぢりの何でも屋「株式会社伸交」様にはこれからも頑張っていただきたいと思います。私も全力を応援させていただきます!
村山社長、おめでとうございました!!
2016.10.28
10月25日(火)に名古屋商工会議所で開催されました、特許庁等が主催する「知的財産権制度説明会(実務者向け)2016」に参加してきました。
5つの講義科目のうち、2つ目の講義「中小企業を応援する知財支援施策について」では、特許庁、日本貿易振興機構(ジェトロ)等の各団体が行っている補助金事業について説明がありました。
中小企業のPCT国際出願件数は年々増加しております。
本ブログでは、主な海外に関する補助金について簡単に説明したいと思います。
1.外国で特許を取りたい!!
外国で特許権、意匠権、商標権等を取得しようとする場合は「外国出願補助金」を利用することができます。
補助対象は、外国特許庁への出願費用、国内・現地代理人費用、翻訳費用等です。
補助率は1/2で、上限額は、特許の場合は150万円です。
2.マネされた!!
海外で特許権、意匠権、商標権等を取得しており、これらの権利が侵害されているような場合は、「模倣品対策支援」を利用することができます。
補助対象は、侵害調査費用、警告文作成費用、模倣品が販売されているインターネットページの削除費用等です。
補助率は2/3で、上限額は400万円です。
3.マネしちゃったかな・・・?
逆に、現地の企業から警告状が届いたとか、権利侵害で訴えられたような場合は、「防衛型侵害対策支援」を利用することができます。
補助対象は、弁護士・弁理士への相談等訴訟前費用、訴訟費用等です。
補助率は2/3で、上限額は500万円です。
4.うちの商標「○○○○」が進出予定国で先に取られた!!
現地企業に自社商標を先取りされたような場合は、「冒認商標無効・取消係争支援」を利用することができます。
補助対象は、冒認を取り消すための異議申立、無効審判請求、取消審判請求費用、弁護士・弁理士等の代理人費用等です。
補助率は2/3で、上限額は500万円です。
5.保険で安心
海外において知的財産権の侵害を理由とする紛争に巻き込まれるリスクヘッジとして「海外知財訴訟保険」に加入することもできます。
補助率は掛金の1/2となります。
上記補助金事業は、一定の支援要件を満たす必要がありますが、一定の支援要件を満たす場合はぜひ利用してみてはいかがでしょうか?
※今年度は、既に募集期間が過ぎてしまったものや、まもなく募集期間が終了するものがありますが、補助金事業は来年度も採択予定です。ご利用の際は支援要件、公募の時期等をご確認のうえお申込み下さい。
2016.10.27
10月19日(水)に名古屋商工会議所で開催されました、特許庁等が主催する「知的財産権制度説明会(実務者向け)2016」に参加してきました。
5つの講義科目のうち、2つ目の講義で「先使用権」についての説明がありました。
知財に関する戦略の一つとして、「オープン戦略」や「クローズ戦略」といった言葉を新聞やインターネット上のニュースで目にすることが多いですよね。
「先使用権」は「クローズ戦略」と関連するものです。
「クローズ戦略」・・・
ざっくり言うと、自社技術のコアの部分をクローズ化して使っていこうというものです。
クローズ化する技術であっても、特許出願せずに秘匿化する場合もあれば、特許出願し特許権を取得する場合もあります。
特許権を取得する場合、そのデメリットとしては、例えば、
・特許権取得のための費用が掛かってしまうこと
・特許権が有限であること、
・発明の内容が明らかになってしまうこと
等が挙げられます。
これら特許権を取得する際のデメリットを回避するとなると、特許出願せずに技術を秘匿化して自社だけでこっそりと使っていこうとするタイプの「クローズ戦略」という考えが出てきます。
ただ、その技術を使っているのが自社(A社)だけであればよいのですが、偶然にも同じ技術を他社(B社)も思いついて、そのB社が特許権を取得したような場合に問題となります。
特許権は独占排他権であるため、こっそりと使っていたA社が権利行使を受けるおそれがあるからです。
そこで登場するのが「先使用権」です。
「先使用権」は、A社内だけでこっそりと使っていた技術に関し、B社が特許出願し、特許権を取得した場合に、A社がB社の特許権に対抗できる権利です。
すなわち、B社の特許出願前からこっそりと使っていたA社は、その技術を継続して実施することができるのです。
この「先使用権」は、特許庁が付与するという性質のものではなく、侵害訴訟等において裁判所が認めることによって、その特許権に対抗できるものです。裁判所で認められるためには「先使用権」の要件を満たす必要があります。
イノベーション手法の多様化等によって技術を秘匿化する「クローズ戦略」が増えてくると「先使用権」が問題になるケースが増えてくるかもしれませんね。
ちなみに、今回このタイミングでの「先使用権」の講義は、「初版事例集(先使用権制度の円滑な活用に向けて〜戦略的なノウハウ管理のために〜)」の発行から10年経過し、①知的財産戦略の高度化、②新たな裁判例の蓄積、③資料の電子化等に対応するため、新たに「第2版事例集」が公表されたことによるものです。先使用権に関する大きな判例が出たとか、先使用権に関する法改正があったとかではありません。
2016.10.26
本日「メッセナゴヤ2016」が開幕しました。今年は過去最大の1,400社超が出展されています。
私も早速行って、「メッセ初モノ製品・サービス 大発表会」を観てきました(お土産に、定価1,800円相当の雑誌「日経ものづくり」をいただきました)。
また、初日終了後の「交流会」にも参加してきました。ここではビ ュッフェ形式で、様々な方と名刺交換させていただきました。ありがとうございました。
「メッセナゴヤ2016」には、私が所属しております日本弁理士会東海支部も出展しております。ブースでは知財に関するミニセミナー、無料相談等を行っております。第3展示館の3B−126です。
皆様のお越しをお待ちしております。
2016.10.18
日清食品グループさんのオンラインストアで紙袋が発売されています。商品名は「お湯入れとる紙袋」です。
この紙袋には、お湯の入ったやかんからカップヌードルに向かってお湯が注ぎ込まれているという写真が掲載されています。
やかんの取っ手の部分と紙袋の取っ手が重なり、紙袋を持つと、あたかもやかんを持ってカップヌードルにお湯を注いでいるように見えます。
公式Facebookに紙袋の画像を投稿したところ大反響となったため、商品化に至ったそうです。
日清食品さんといえば、即席めんの「オープン戦略」ですよね。
1958年に日清食品の創業者である故・安藤百福さんが即席めんを発明し、それまでなかった即席めんが世に出ました。
それまでになかった即席めんが発売されると、この即席めんを真似る会社が出てきました。
中には粗悪品も存在しました。
日清食品さんは、一部の粗悪品によって全ての即席めんが粗悪品のイメージとなることを避けるため、所有していた特許技術を「オープン」、すなわち、他社にライセンスしました。そして、その際、技術指導等を行って、適正な即席めんを作ってもらうようにしたわけです。
他社に特許技術を使ってもらうことによって結果的に粗悪品を排除することができ、保存がきき、すぐ食べられ、そして何より美味しいということで爆発的に売れ、一大市場を形成しました。
この「オープン戦略」という決断がなければ即席めん市場が今のような規模ではなかったかもしれませんね。
ところで、日清食品さんは、この紙袋で儲けようとは思っていないようですね。ブランドの認知度を高めたいとのことです。
私自身、チラシやPOP等で「お一人様一個限り」、「残りわずか」、「少量入荷」、「本日限り」、「閉店セール」等のネガティブな言葉が躍るとついつい欲しくなってしまいます。
「儲けようとは思っていない」・・・。なんか、モーレツに欲しくなってきました(笑)!
これも戦略なのでしょうか?